経営者保証ガイドラインは,主たる債務者となる会社と保証人である経営者の債務をあわせて処理する手続です。会社が廃業型(清算型)の債務整理手続をとる場合の経営者保証ガイドラインの活用法を紹介します。
1 特別清算(清算型)+経営者保証ガイドラインの特定調停
会社についての主な条件
・当面の資金繰り(できれば3か月程度)ができること
・租税債権・労働債権の滞納がないもしくは少ないこと
・商取引債権の弁済ができているもしくはできること など
経営者保証ガイドラインの手続
会社の特別清算の進捗を見ながら進めていき,協定の可決・認可の時点で特定調停における弁済計画案についての同意を得ることを目指します。
スケジュールのイメージ
2 主債務者一体型の経営者保証ガイドラインの特定調停
主債務者一体型の経営者保証ガイドラインの特定調停は,平成29年1月,日本弁護士連合会が発表した,廃業支援のためのスキームです。
会社についての主な条件
・当面の資金繰り(できれば3か月程度)ができること
・租税債権・労働債権の滞納がないもしくは少ないこと
・商取引債権の弁済ができているもしくはできること など
経営者保証ガイドラインの手続
会社と経営者を一体として,金融機関と弁済計画案について調整を図り,調整の目途が立った時点で裁判所に金融機関を相手に特定調停申立てを行い,弁済計画案についての同意を得て,債務免除を受けるものです。
スケジュールのイメージ
3 破産+経営者保証ガイドラインの特定調停
破産は,①当面の資金繰りすらできず,②租税債権・労働債権の滞納が残っていたり,③商取引債権の弁済ができていなくても利用できる,万能の最終手段です。会社について破産手続が行われている以上,経営者保証ガイドラインの特定調停については金融機関との調整等において難易度が高いと思われますが,チャレンジする価値はあると思います。